米国アトランタにあるエモリー大学ゴイズエタビジネススクール(Emory University Goizueta Business School)の日本人在校生によるブログです。

当校のプログラムやアトランタでの生活について書いています。

2015年8月16日日曜日

MBAと現実を繋ぐ夏 夏の過ごし方(例)

Class of 2016のSHです。

ご存知の方も多いと思いますが米国MBAの特色として1年目と2年目の間に約3ヶ月の長期夏期休暇があります。多くの米国MBA学生にとってこの夏はインターンシップを通じて志望企業への就職を実現する為の最重要時期といって過言では有りません。私はこの3ヶ月間を卒業後の自己実現に向けた調整期間と位置付け、”MBAとビジネスのギャップ”、”ビジネスと現場のギャップ”を埋めるべく資金と時間を費やしました。具体的には、①アジアにおけるImpact Investmentの知識と経験の修得、②アジア諸国の現状把握、③アジアにおける人脈構築、の3つを目的として過ごしました。ここでは簡単にご案内したいと思います。

アジアにおけるImpact Investmentの知識と経験の修得
教授による紹介等を受けてシンガポール国立大学(NUS)やシンガポールに拠点を置くSocial Impact Investmentのリーディングカンパニー(調査機関、NPO、投資ファンド等)と協力して東南アジア諸国におけるImpact Investmentの市場、起業家・投資家動向、評価手法、支援策などについての学術的調査を行いました。ここでの経験により米国MBAで学ぶ内容とビジネスとのギャップを埋めることを実現しました。NUSの学生だけではなく米国からの調査ボランティア学生(Stanford, Princeton, Columbia, U-Pen, NYU等の学部生)と共に2ヶ月に渡り調査を行うだけではなく世界的にも新しいこのSocial Impact分野に関する様々な議論を昼夜問わず交わすことができました。

また、米Forbes紙で今年7月に取り上げられた、アメリカ合衆国国際開発庁USAID(U.S. Agency for International Development)、世界的な調査機関ANDE(The Aspen Network of Development Economy)とEmory Universityによる共同研究
http://www.forbes.com/sites/annefield/2015/07/28/2-3m-partnership-will-study-startup-accelerators-especially-in-emerging-markets/)についても今夏の経験等を活かして秋学期以降、教授と共に調査メンバーとして取り組む予定です。


アジア諸国の現状把握
東南アジア諸国の現状を理解する為に、シンガポールに2ヶ月程滞在してミャンマー、タイ、カンボジアなどを訪問しました。ここではMBAで学んだ内容と現場とのギャップだけではなく、上記で挙げたビジネスや主に2次情報を用いた調査と現場・実態とのギャップを埋めることができました。特にミャンマーでの取引所、地元企業、マーケット視察、カンボジアの人々の生活環境視察、孤児院でのボランティアなどは、自身の価値観に大きな影響を与えるものとなりました。一度社会に出た後に改めて時間をかけて現地を訪れ、そこに生きる人々との会話をすることは、世の中に公開されない事実を知る為にも極めて貴重であると感じました。

近年、様々な議論がなされている中国についても自身の目で確かめておきたいと思い、上海の復旦大学への交換留学をしました。当校では夏期休暇を利用した交換留学制度があり、アジアのみならず欧州や南米でこの夏期休暇を使って学ぶこともできます。復旦大学では中国の国内・国際政治、経済、金融情勢のみならずマーケティング、アカウンティング、商標・特許などの現状を学ぶと共に、米系不動産ブローカー(Cushman & Wakefield)や最大手の鉄鋼メーカーであるBao Steel等中国企業への訪問も実現しました。多くの国から集まる学生と中国について議論し合い、また中国トップレベルの教授陣から直接、中国の現状について研究・調査等に基づいた事実や考えを学べたことは二次情報では得られない情報を得る機会となりました。終戦70年の8月15日を中国で迎えたこともまた特別な経験となりました。

 


アジアにおける人脈構築
Social Impactの分野に携わるビジネスパーソン、将来アジアで活躍したいと志す多くの米国TOPスクールの学部生、復旦大学の教授陣、学生との人脈構築を実現しました。当校にも多くのアジア系学生が在籍しますがその多くが米国に留まることを希望している為、アジア域内の人脈構築はビジネススクールの枠を越えて実際に自身がアジアに身を置かない限り難しいのが実情です。

また、シンガポール滞在中に米国の最大手財団のアジア代表の方とお会いする機会があり、その方との食事や面談などを通じて、最終的には東北復興支援事業の立ち上げに協力しました。ここでは、新規事業のアイデア出しから財団、企業、NPO/NGO団体との面談セッティング、提案資料作成などに携わりました。人と人との出会いから新たなものが生み出され、ゼロからビジネスを創造する経験しました。今後もこの新規事業実現に向けて留学中に取り組んで行く予定です。


既に夏期休暇終了まで10日を切りましたが、引き続きMBA学生という立場を活かして様々な組織、企業、人と会い自己実現に向けてこの夏を充実させたいと思います。ほんの一例として少しでも皆様のご参考になれば幸いです。